最終更新日
2015年10月13日


 私たちは、『新修彦根市史通史編・現代』の執筆者グループです。2013年10月、彦根市長は「総合的判断」との抽象的理由で、原稿が完成していた同書の発行中止を一方的に決定し、私たちに通告してきました。これは前市長による発行延期の決定を引き継ぐものであり、市民の知る権利を奪い、科学者が特定の権威や組織の利害から独立し自らの専門的な判断により真理を探究する権利と専門家として社会の負託に応える責務を侵害するものです。そこで、私たちは、法的手段によって彦根市による『通史編・現代』の刊行を求めることとし、2013年12月16日に彦根簡易裁判所に調停申し立てを行いました。
 併せて、この彦根市史問題の真実を広く知っていただくために、ホームページを開設いたしました。ぜひとも多くの皆さんのご支援、ご協力をお願いしたいと思います。

2013年12月24日  『新修彦根市史通史編・現代』執筆者グループ一同


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2015年10月13日
彦根市史問題の最終的決着について」を更新しました。

彦根市史問題の最終的決着について

 すでにさまざまな方法で報告をさせていただきましたが、2014年11月28日の執筆者・彦根市の合意成立を経て、翌2015年1月31日『新修彦根市史 通史編現代』の刊行が実現し、ここに足かけ5年を要した彦根市史問題は基本的に解決しました。それによって、市史本は刊行を待ち望んでいた多くの彦根市民や読者の手元に届けられ、読まれています。
 私たち執筆者は、彦根市当局のそれまでの対応に不満を持ちながらも、大局的見地からお互いに歩み寄り、発行を最優先させ実現させました(この点については、HP掲載の「ご報告とお礼」2014.11.28付けを参照)。
 しかしこの間、このような問題解決の動きに不満を持つ前市長獅山向洋氏は2014年7月22日、発行差し止め・費用支出の不可、執筆者への損害賠償要求などを求める住民監査請求を彦根市に行いました。これが同年9月17日に同市監査委員によって棄却されると、同年9月24日大津地方裁判所に同趣旨の訴訟を現彦根市長相手に提起しました。
 獅山氏の主張は、自らが市長時代に裁可した方針(印刷費・原稿料の支払い)を不当とする不条理なものであり、とうてい裁判所や社会に許容されるものではないと思いましたが、私たちなりに成り行きを注視してまいりました。
 提訴から1年後の本年9月10日、獅山氏本人から訴訟取り下げの申し出があり、彦根市側も同月17日に同意しました。この事実を、私たちは10月初めに大津地裁で確認しました。取下げ書には、「原告は、都合により、訴えの全部を取下げる」とあるのみです。「都合により」としか説明できないところに、獅山氏の一連の行為の道理の無さが窺われます。
 そして、最終盤に転換したとはいえ、このような獅山前市長の方針に無批判に追随した現彦根市長側にも問題がありました。ともかくも、今回の訴訟取り下げによって、ここに彦根市史問題は最終的に決着をとげることとなりました。
 権力による検閲を許さず、言論出版の自由・学問思想の自由を守り抜いた今回の闘いは、彦根市の歴史に不名誉なページを刻ませずに、むしろ自治体史や社会運動史・思想史など日本現代史上注目され記憶される出来事として歴史に名を残すことになるでしょう。
 これも彦根市民はじめ全国の学者・研究者、学会・自治体史関係者などご支援・ご協力を頂いた多くの皆さまのお蔭であり、改めて心から感謝申し上げます。
 以上のご報告をもって、私たち執筆者グループの運動もひとまず区切りとさせていただきます。ほんとうにありがとうございました。
 なお、多くの支援者の方々から運動へのカンパを頂戴しましたが、HPを通して後日ご報告をさせていただきます。

2015年10月13日          執筆者グループ一同


2015年3月25日
「執筆者による新聞・雑誌寄稿文等」を更新しました。
 ・『日本史研究』2015年1月号に野田公夫氏の「時評」が掲載されました。

2015年3月22日
「NEWS」を更新しました。
 ・「刊行を祝う会」の写真をアップしました。 (こちらをクリックしてください

2015年3月15日
「NEWS」を更新しました。
 ・3月14日に『新修彦根市史』通史編・現代の「刊行を祝う会」が開催されました。

2015年2月23日
「NEWS」を更新しました。
 ・『新修彦根市史』第4巻 通史編・現代が発刊されました。

・京都新聞に2015年2月20日付で記事が掲載されました。
 「「彦根市史」現代編、やっと発売 一時発刊中止も、全巻そろう」


2014年11月28日

ご報告とお礼

一 私たちみんなの勝利
 「新修彦根市史 通史編現代」の発行に関して、2014年11月13日彦根市臨時議会で発行案件および関連予算が可決され、同月28日彦根簡易裁判所における第7回調停において、執筆者側と彦根市側の合意が成立しました。
 ここに、2010年の発行中断から足かけ5年を経て、市史問題はようやく解決することとなりました。これは2014年2月の監査結果の勧告を受け、「現代原稿」について執筆者側、彦根市側が今夏集中的に協議を重ね、双方が歩み寄った結果であります。
 いわれなき理由で強引に廃棄されようとした「現代原稿」が、基本的に原型を維持して発行されることは、「編さん大綱」と学問の自由を掲げて闘った私たち執筆者、および共に闘って下さった多くの支援者にとっての勝利であります。

二 明らかになった市側の道理の無さ
 この5年間の経過で明らかになったことは、彦根市当局にまったく道理がなかったということです。
 5年前、私たちの原稿は、編集委員会で確定され、市側の所定の検査で副市長のラインまで承認を受け、原稿料が支払われたにも拘わらず、前市長の「ツルの一声」で不合格とされました。近江絹糸人権争議などの記述をやり玉に、ものの見方が偏っている、新聞資料を多用し過ぎだなどというのがその理由でした。しかし市史問題の核心は、前市長の業績中心に原稿内容を改変せよという要求に私たちが従うかどうかにありました。
 現市長はこの問題に正面から向き合おうとせず、「現代史は自治体史にそぐわない」から発行しないと言って、「編さん大綱」完全否定の方針を表明しました。それを正当化するため、「現代原稿」に千数百の修正点があるなどと欠陥を印象付けようとしました。私たちは調停の中で、それら大半がすでに校正済みの修正や、ページ数の変更などで大幅水増しされた虚構の数字であることを示して抗議し、市側は否定できませんでした。
 結局、5年間の経過、調停作業と合意を踏まえて、今改めて確認できることは、無理やり市史問題を引き起こした彦根市側の道理の無さと責任の重さです。

三 早期解決―譲り合いで
 本年2月、「現代原稿」に「必要な調整を行ったうえで、新修彦根市史編さん大綱に基づき、これを書籍として刊行」せよ、という画期的な監査結果が出されました。私たち執筆者は、「年内に刊行せよ」という勧告の趣旨を尊重し、また「現代」を早く読みたいという彦根市民のお声にもこたえて、「現代」の早期刊行に最大限努力することにしました。
そして彦根市側との8月の集中的調整作業において、文章表現など細かい係争点ではできるだけ妥協し早期解決に努めました。彦根市側も、この最終段階では前向きな姿勢に転じて、市史問題の早期解決に努力しました。
 私たち執筆者は、5年間の闘いの結果、為政者のためではなく、「市民の視点と客観的見地からの市史」をめざす「編さん大綱」の視点を基本的に貫けたと思います。

四 世論と市民の力
 完成した原稿が為政者の不満で恣意的に廃棄されんとする前例のない市史問題は、各方面からご支援、ご協力を頂きました。全国の学者・研究者、自治体史関係者から注目を浴び、多くの励まし、署名・カンパを頂き、また歴史系の学会はじめ諸学会でも会誌などに私たちのアピール文を掲載して頂きました。
 中でも非常に大きな力となったのは、発行を求めて監査請求や署名活動などを熱心に展開して頂いた彦根市民の運動です。「現代」発行を促す画期的な監査結果も市民の運動を抜きに語ることはできません。良識ある市会議員諸氏のご尽力にも感謝いたします。その意味で発行は、彦根市民の良識の勝利でもあります。

五 市史を早く市民の手元に!
 こうして市史問題はようやく解決に至ろうとしています。市史原稿は8月末に執筆者と市の実務者間の合意にこぎつけましたが、関連予算などの議会承認に加え、完成原稿の確認・校正など実務的作業に手間どりました。残念ながら年内刊行は難しいようですが、年明け早々には彦根市民のお手元にお届けできることと思います。
 市民の皆さまはじめ、全国のご支援頂いた方々にもぜひともお読み頂き、遠慮のないご批判をお願いいたします。刊行後、できれば私たち執筆者も「市史を読む会」などでご一緒する機会があればと思います。
 以上、簡単ではありますが、ご報告とお礼にかえさせて頂きます。

2014年11月28日
  『新修彦根市史』通史編現代・執筆者グループ


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